2007年5月13日日曜日

エームス試験とDNA修復感受性試験のレポート

レポートできた。
文章の力の無さはあきらめてください。
参考にしていただければ幸いです。


エームス試験
 ある化学物質がDNAに作用して塩基配列に損傷を引き起こす性質を持つかどうかを調べる試験。
 ヒスチジン要求性のネズミチフス菌を調べたい化学物質と一緒に培養すると、化学物質に変異原性があれば菌が分裂する過程で復帰突然変異が起こり、ヒスチジン非要求性と変異し菌は増殖を続けることができる。
 よって培地でのコロニー数が多ければ陽性であり、少なければ陰性であるといえる。
 以上のことからエームス試験で陽性を記録した化学物質には発癌性の恐れがあると考えるが、実際には陽性であっても発癌性のない化学物質も多く、また逆に非変異発癌の例もある。また化学物質の中には動物の体内で代謝活性化されて変異原性物質に変化するものがある。
 そのため、エームス試験の結果は農薬などの高度な安全性試験を実施する物質の場合には参考程度にしか過ぎない。

DNA修復感受性試験
 DNAの傷害を修復する機能を持つ野生株と修復能力に欠いた変異株の両者に対して化学物質と一緒に培養し、両者の成育阻害の差を用いて化学物質にDNA損傷作用があるか調べる試験。
 修復能力を有する野生株と、修復能力に欠いた変異株の両者のDNA傷害を誘起する化合物質に対する生育感受性を比較してみると、前者は当然後者よりも抵抗性が高い。この現象を利用し、ある化学物質があって、野生株に比して変異株に高い生育阻害作用が見られたとき、この化学物質はDNAに傷害を与え、これが修復されないため生育阻害が高いものと解釈される。そして、DNAに傷害を与える物質の多くに突然変異誘起性があることからこの試験によって突然変異誘起作用の有無を調べることが出来る。
 実際の方法としては、枯草菌細胞に薬剤が比較的浸透しやすいことからこの菌株を使用することが多い。その場合、通常H17(Rec+)およびM45(Rec-)が使用される。
 まずH17Rec+およびM45Rec-をそれぞれB-2液体ブロスで一晩培養する。一方B-2ブロス寒天培地を用意して、その表面を乾燥させる。そこにそれぞれの菌浮有液を八の字型にストリークする。この際ストリークの先端で両株が混ざり合わぬように注意する。これに検体溶液をしみ込ませた円形ろ紙に、八の字型の頂点をおおいつつのせる。そして、37℃で1昼夜培養し、作った生育阻害帯の距離(ろ紙端より測定)を記録する。
 もし、M45の阻害がH17よりも強い場合はこの薬剤を陽性と判断する。

DNA修復感受性

→DNA修復試験
  組み替え修復機構欠損株:rec-assay  (枯草菌
  除去修復機構欠損株:hrc-assay (サルモネラ菌
  DNAポリメラーゼ欠損株:pol-assay (大腸菌

*細菌におけるDNA修復試験(repair test)
 DNA修復機構の一部を欠損した菌株と修復機能をもつ野生株に同じ薬剤を作用させて生育感受性(生育阻害の程度)を比較する。
 DNA修復機構欠損株は、野生株に比べて、DNA損傷誘起物質によって死滅しやすいため、両株の生育阻止に差が生ずれば、薬剤によってDNA損傷が生じたためと考える。
 この方法は、直接突然変異誘起作用を調べているわけではないが、実際、このDNA修復試験で陽性を示した物質の多くに突然変異誘起性があることが知られる。
 枯草菌(組替修復機構欠損株:rec-assay)や大腸菌(DNAポリメラーゼ欠損株:pol-assay)のほかサルモネラ菌(除去修復欠損株)なども用いられている。主として、プレート上に菌液をストリーク、あるいは一面に広げ、薬剤をしみ込ませたろ紙を置き、一晩培養した後、ろ紙周辺に生じる生育阻害帯の長さを比較するが、液体中で試験する方法もある。特に枯草菌では、胞子の利用やS9ミックスを加える代謝活性化系の導入など感度を高めるための改良がなされている。




→感受性法
→rec-assay法


 化学物質による突然変異の誘発は、これが細胞DNAに反応して生じる欠損が起点となって起こる。
 一方突然変異誘発剤はたいていの場合、細胞に致死的に働く。
 何故なら、DNAに生じた障害は細胞致死の原因ともなるからである。ところがDNAに障害を与えるか否かを知るのに便利な方法が工夫された。
 細胞DNAの障害の大部分は、細胞による修復の対象になる。DNAの傷害が修復されれば、細胞致死からまぬがれる機械が増える。
 DNA傷害の修復は、細胞の酵素の働きによるものであるが、人為的にはこれらの酵素活性に欠いた変異株を分離することが可能である。
 修復能力を有する野生株と、修復能力に欠いた変異株の両者のDNA傷害を誘起する化合物質に対する生育感受性を比較してみると、前者は当然後者よりも抵抗性が高い。
 この現象は逆に、次のように利用される。
 いまある薬剤があって、野生株に比して修復欠損株に高い生育阻害作用が見出された場合、この薬剤はDNAに傷害を与え、これが修復されないために生育阻害が高いものと解釈される。
 このような方法で多くの試薬がDNAを損傷スルか否かを調べることは、突然変異を直接検出することよりも約1/10の時間と労力で済む。
 DNAに傷害を与える薬剤は、多くの場合突然変異を誘起することが多い。
 事実、枯草菌を用いたこの種の試験によって、まず”DNA-damaging"な化合物をスクリーニングし、その後、これらの突然変異活性を調べるという方式は現時点で最も能率の高い方法と考えられる。
 細胞によるDNA傷害の修復の方式は大まかに分けて、除去修復(Excision repair)と、組み換え修復(Recombination repair)の二型がある。後者にかけている株はRec-と総称し、前者にかけている株はHcr-と呼ぶ。
 その他DNAポリメラーゼⅠにも除去修復に働いておりその欠損株はPol-と示される。
 現在のところ、枯草菌、大腸菌、サルモネラ、酵母などの修復欠損株が致死感受性法によるDNA傷害物質のスクリーニングに使用されている。

 ◆枯草菌Rec-assay法
 薬剤の枯草菌野生株(Rec+)と組み替え修復機構欠損株(Rec-)に対する感受性を測定、比較する方法で通常H17(Rec+)およびM45(rec-)が使用されている。枯草菌細胞には、薬剤が比較的浸透しやすい。
 この予備スクリーニングを復帰変異試験と併用する方法によって現在までフリルフラマイドなど10種類以上の新変異原が検出されている。
  実験法
 枯草菌(Bacillus subtilis)H17Rec+およびM45Rec-をそれぞれB-2液体ブロスで一晩培養する。
 一方B-2ブロス寒天培地を用意して、その表面を乾燥させる。0.1mlの小型ピペットでそれぞれの菌浮有液を八の字型にstreakする。
 この際streakの先端で両株が混ざり合わぬように注意する。液が十分しみ込んだ後、直径10mmくらいの円形ろ紙に検体溶液(0.02~0.03mm)をしみ込ませ、八の字型の頂点をおおいつつのせる。シャーレを37℃で1昼夜培養して作った生育阻害帯の距離(ろ紙端より測定)を記録する。
 もし、M45の阻害がH17よりも強い場合はこの薬剤を陽性と判断する。